〜小説〜

ダイブ

第三章 ダイブ

3 - 4

「これからどうするか決める前にちょっと見てみてくれよ。」


「アイテム!」


僕はアイテムウインドウを開き先ほど購入したアイテムを探す。




「なにニヤニヤしてんの?」


ミサが興味なさそうに聞いた。




「さっき買った鎧かぁ?」


サトルは含み笑いをしながら馬鹿にしたような口調で言った。


「馬鹿が、結構カッコイイぜ!」


やっとアイテムウインドウから【深紅の鎧】を見つけ装備する。



「深紅の鎧装備!」



突然僕の体が赤く光り、とたんに体に重みがかかった。



「おおーーー!」



サトルとミサの声が漏れた。


ヤバイ、俺カッコイイんじゃね?


演出すごくね?


 


赤い金属に銀の装飾がちりばめられ、肩や足は鎧で固められているのに肝心の胸は布の服。

軽装なのか重装なのかわからないこのデザインに惚れたんだ。



光が収まり、サトルの反応を見る。


物欲しそうな目をしてやがる。絶対羨ましがってるな。


 


ミサは・・・・


「キャハハハハ!」


はい?


サトルと僕は一斉にミサを見た。


なに笑ってるの?


この人・・・


「カッコよくない?」



まさかとは思うが一応聞いてみた。が・・・


 


「あ・・・別に笑ってないよ。


なんか赤いふんどしみたい。」




え・・・・・


 


サトルのフォローは一瞬遅れた。


「いや、カッコイイだろ。

だって赤い?3倍だぜ?」



だよな・・・そうだよな。


しかしサトルよ・・・そのマニアックなフォローもどうかと思うぞ。


 


「ほら、深紅だぜ?深紅の騎士だぜ?」


僕は必死に訴えた。


ミサにはわからないらしい。



「変・・・ないでしょ。」



なくないでしょ!!


・・・。



ただ佇むことしか出来ない僕に、サトルは話しかけてきた。


「そんなに気にするなよ。似合ってるよ・・・。」


 


「さて!気分を変えて次は俺の番だな!」


サトルは「フフッ」と含み笑いのあと


「魔術師の服!装備!!!」



なんと気づかないうちにアイテムウインドウから装備品を見つけていたらしい。


フッ。あいつも見せたいんだな。


 


サトルの体が黒い霧に包まれ、周りの地面が湿っていく・・・


心なしか寒くなってきた気がする


 


黒いローブ、どす黒い青色のネクタイみたいな前掛け。


フードをかぶっていて顔がよく見えない。


「魔女みたい!」


ミサが装備を終えたサトルに駆け寄ってく。


魔女と魔術師・・・まぁ似たようなもんだし、ほめ言葉なんだろうな。



サトルは照れくさそうに笑っている。いや、にやけてる?


まあ確かに、影があってかっこよさげだが俺のほうがかっこいいだろ。



「カッコイイっしょ
?


「いやそうでもないけど!」



褒め言葉じゃなかったらしい。


「マジか・・・でもこの本浮くんだぜ」


「おーそれはカッコイイね!」


 


「じゃあ次はあたしが買ったのみてよ!」


サトルのシーン短いな・・・



ミサはアイテムウインドウを開き、さっき買ったものを探している。


ミサはアイテムを見つけたみたいだ。


みんなと少しはなれた場所にいる。



「魔獣師の服!装備ぃぃーーーー!」



ミサが白い光に包まれる。たくさんの鳥の羽みたいなものに包まれてる。


サトルのときもそうだったが、装備によって装着するときの演出が違うらしい。




「ほら見て〜〜〜!かわいいでしょ
?


タータンチェックにフリル、スケスケスカートのミサが跳ねている。


話を聞くとミサは服がかわいいという理由でモンスターの力を借りる召喚術士の装備を選んだらしい。




「ほら〜見て〜フリルだよ!」



サトルは極上のにやけ顔でミサのそばによっていった。


「うん。可愛い!


なに着てもミサは可愛いね〜!」



仲良いね〜二人とも。


バカップルだね〜っと、心のなかで思っておく。



 

召喚術士が扱うモンスターは、ビー玉のようなものに封じ込まれており、それぞれ攻撃が得意なもの、回復が得意なものなど種類も豊富だった。


しかし、ここでもミサはかわいいという理由で、攻撃することは出来ないが回復と防御に優れた
15cmほどの妖精のようなモンスターを選んだそう
だ。


モンスターが出ない街中で無駄に召喚している・・・しかも無駄に
2匹も・・・


本当はもっと連れて行きたかったらしいがお金が足りなくなったため
2匹で我慢したと言っている。



そんなに多くの妖精が飛び回っていたら叩き落したくなる・・・


 


「ん?」


サトルが急に眉間にしわを寄せ始めた。



「お金が足りなくなった?ちょっと待って・・・。


たしか
100万もらったんだよな?


どんな装備買ったら
100万もなくなるんだ?」


 


ヤバイ・・・


速攻ばれた・・・。


 


「ミサ!装備買ったときお金いくら残ってた?」


「私が買ったのさっきでもうほとんどお金なかったよ?


たしか
20万も残って無かったよ!


召喚獣(?)が結構高かったんだけど、店の人にモンスターを買わないとダメだって言われたから全部で
15万ぐらい使っちゃったけど・・・。」


 


「ミサの召喚獣は必要経費で仕方ない。


ちなみに俺は魔術書とか消耗品を全部合わせて
10万弱しか使ってないよ?」


 


二人の視線が痛い・・・


 


「タークーヤーくーん??」


サトルがこっちをにらんでいる。


「その鎧いくらしたの?」


ミサが笑顔で圧力をかけてくる。


 


65万円・・・」


 


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」



二人の声が町に響き渡る。


 


この後約
20分間二人の愚痴を聞く羽目になった。


一事は鎧を売れとまで言われたが、何とか今後、


 


  ・物を買うときに二人の許可を取ること


しばらく買い物禁止

 

という約束するということで収まった。


 

 


その後、僕らはこれからどうするか相談することにした。


「残り時間は・・・あと
30分ちょっとってところか。」




意外と装備を決めるのに時間を使ってしまっていたようだ。


「それじゃあちょっとだけ町の外に出て見るー?」


ミサは街が飽きたらしく、しきりに外に出たがっていた。


 


たしかに残り
30分だと別の町に行くには時間が短すぎだろうし、かといってこの町の探索はほとんど終わってる。


それにに僕もサトルも、これだけリアルな世界のモンスターがどんなものか見てみたいという好奇心のほうが勝っていた。




「それじゃあ少しだけ外に出てみるか?街の近くならそれほど強いモンスターはいないのがRPGの鉄則だしね。」


 第四章 Top

カントリー家具

inserted by FC2 system