〜小説〜
ダイブ
第四章 戦闘
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しかし後ろにモンスターの姿は見えなかった。
そこにいたのは・・・
「私だけ何もやってない!!」
むくれ顔のミサだった。
さっきまで半泣きだったのに・・・鬼のような形相だ。
わけが分からない・・・が!
ゴブリンよりもよっぽど怖い・・・
ミサが僕らに近づいてきた・・・
殺される・・・
僕はプレッシャーに耐え切れずサトルのほうを向いた。
がサトルはまんざら怖がってもいなかった。
むしろにやけている!?
怒った顔も可愛い!!
と、サトルは思っているのか・・・?
なんて、馬鹿な奴らだ!
付き合いきれん・・・
僕はサトルの顔を見て一気に緊張感がうせた。
やはりミサは怒っていたらしく、サトルに向かってなにやらわめいている。
しばらくは二人のやり取りを聞いていたが
ミサが怒る → サトルがなだめる → ミサが怒る の繰り返しだった。
いつものことなんだろうな・・・
仲が良いのは分かったけどそろそろ飽きてきたな・・・
いつまでも痴話喧嘩に付き合ってられないと思い、僕は話題を変えようとした。
「とりあえず先に進もうか?」
これがいけなかった!
なぜかわからないが、気に入らなかったらしく、怒りの矛先が僕に向いた。
「タクヤ!!まだ話が終わってないだろ!!」
ヤバイ!!
今までの経験から言って、ミサはサトルに対しては手加減するのだが、僕には容赦が無い・・・
僕はサトルに助けてほしいと視線を送った。
しかし・・・
サトルはどこから取り出したのかタバコを吸い始めた・・・
助けろよ・・・
「ごめん!次のモンスターは任せるから!ほら、もうすぐそこら辺から出てくるよ〜」
出てくる雰囲気はないがとりあえず言っておく。
「タクヤ!次、手出ししたら、ただじゃおか・・・」
ブツッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目の前に広がる光景はさっきまでいた草原ではなく、3時間前に見た天井だった。
3時間過ぎて強制的に現実世界に戻されたのだ。
すぐさまカプセルが開き、外に出ることが出来た。
「あー・・・お疲れ様。どうだった?」
タチカワさんの声が聞こえる。
「えっと・・・たっ・・楽しかったです。」
正直、今の僕はそれどころじゃなかった。
最悪だ・・・
めちゃくちゃ睨んでるよ・・・
誰か・・・助けて・・・