〜小説〜

ダイブ

 

プロローグ


ドンッ!

中年男性の目の前で『それ』は弾け飛んだ。

かみのけが焼けたようなイヤな臭いがあたりに広がり、何かがあたりに飛び散った。


昔の面影など微塵も感じることができない。


すでに原型をとどめていないにもかかわらず、『それ』は何かを探すように動き回っている。



「すぐに追ってくる!」



中年男性の少し後ろにたっている青年が叫んだ。


青年の後ろにいる若い女性は、目線もおぼつかない様子でただ震えているだけだった。


中年男性はすぐに立ち上がり若い男女のほうへ駆け寄った。


額には汗がにじみ出ている。


「やつが追ってくる前に少しでも遠くに行くぞ。」



3
人は急いでその場を後にした。




どのくらい走ったのだろうか。


すでに声を発する余裕も無く、汗だくになっていた。


ついに中年男性は地面に座り込んだ。



「はぁ・・・はぁ・・・頼む!少し休もう・・・」


「チィッ・・・はぁ・・はぁ・・」


青年が軽く舌打ちをしたが、息づかいが荒くなっている中年男性の耳には聞こえなかった。



すぐに青年は辺りを見回した。


横には大きな丘があったが反対側は平地となっており、比較的見渡しの良い場所だった。



「ねぇ!どうなってるの?何なのよアレ!!」


女性がものすごい勢いで中年男性に食って掛かった。



「わからない・・・あんなもの存在するはずがないんだ・・・」


「じゃあ何!?さっき見たものは!あんたたちが作ったものでしょ責任取りなさいよ!」


中年男性は眉間にしわを寄せ何かを考えているそぶりをしたが、なにも思い浮かばなかったのか大きく肩を落とした。



中年男性は起きあがり青年のほうへ向かった。


「時間は?今何時間経過した?」


「あんたの言ってた時間はとっくに過ぎてる・・・どうすれば戻れるんだ?」


「初めに説明した通常の方法では戻れなかった・・・残る方法は・・・」



バキッ!! 



一瞬の出来事で誰一人動くことは出来なかった。



何かが中年男性の上に落ちてきたのだ。


中年男性の上に落ちてきた「それ」はほんの数十分前にたしかに粉々に吹き飛んだ物体だった。





 

ぐぢゃっばぎゅあびゃ・・・・・・・・びぎゃあびゃ・・・・
びゅあふぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!
あびゃ・・・・ぐぎゃあびゃ・・・・・・・・・・バキッッ!
びぎゃあびゃ・・ぐぎゃあびゃ・・バキボキッ!!!!





 

「それ」はものすごいスピードで中年男性の上に覆いかぶさると、気味の悪い大きな音を立てながら中年男性を取り込み始めた。

 

 


「どーすりゃいいんだよ・・くそがぁぁ!!」
























「・・・・・・・・ズリュッ・・」

   Top


月460円からのネットショップ開設!

 

 

ネットショップ機能付きショッピングカート inserted by FC2 system